退職・失業後の健康保険、なんとか少しでも安く済ませる方法はないものでしょうか。
まずごく普通に、「国民健康保険(国保)に加入する」やり方を検討します。
お役所のホームページを見ると、「国民健康保険税」と書かれていることにお気づきでしょう。
名前のとおり、われわれが通常「国保」と呼んでいるのは、市町村が運営する、市町村が課す税金(地方税)なわけです(「保険税」方式と呼ばれます。実は市町村以外にも、医師や建設土木業者が設立した「国民健康保険組合」が「保険料」として徴収するケースもありますが、これまでサラリーマンだった皆さんは、とりあえずは気にしなくて結構です)。
市町村でも「保険料」方式を採ることはできるのですが、時効にかかる期間が税方式のほうが数年長いため、ほとんどの市町村が「保険税」方式をとっているわけです。
ということで、市町村ごとに運営されていることもあり、徴収される保険料も地域によってかなり金額差が生じていることから、社会問題にすらなっていることは、よく知られたところです。
また国保の保険料は、失業保険の受給中、注意したい支出(3)~国保と任意継続 で記した計算方法で金額がはじきだされるわけですが、そのなかでも「所得割」の計算部分が問題になります。
これは加入者の前年の所得、すなわち「前年12月末までの給与収入はいくらあったのか」で情け容赦なく(泣笑)算出されるしくみとなっているので、現在失業中・求職中であったとしても、退職前に得ていた給与をベースに計算された高額の保険料の支払通知書が、退職後のあなたのもとにやってくることになるのです。
この国保の保険料の負担感を少しでも軽くするためのストレートなやり方としては、 失業保険の受給中、注意したい支出(4)~短期保険証・資格証明書 で記したように、市町村の担当窓口に現在の窮状を訴えて相談し、「分割払い」にしてもらうか、あるいは「減免制度」が利用できないかを、探っていくしかありません。
この減免制度も、市町村ごとに異なる部分があるので、まずはお住まいの市町村の制度がどうなっているかを調べてみるのが、第一歩となりますね。
もうひとつ、失業保険の受給中、注意したい支出(2)~国保と任意継続 で記したように、「健康保険の任意継続」を選択するやり方があります(ただし期間は、退職後2年間だけに限定されます)。
任意継続を利用することで、国保に比べると安くなるケースが多いとはいえ、任意継続でツライのは、これまで会社が負担してくれていた半額分(健保組合によっては、会社負担率が3分の2などというところもあるのです)も含め、全額を自己負担として支払わねばならなくなることです。
また、国保に加入した場合と比べてどちらがトクかは、退職時期や前職の収入状況にも左右されるので、念のため両方のケースを計算してきちんと比較してみる必要もあります。
さらに第三の選択肢として、「会社員である親などが加入している健康保険組合(健保組合)で、その扶養家族として加入させてもらう」という方法があります。
これならば、自身の金銭負担はゼロ円(!)で、いざというときに保険の恩恵にあずかれることになります。
ただしこの「ぶらさがり作戦」はよく知られているにもかかわらず、健保組合によって認定基準が異なることもあり、うまい話ばかりではないケースもあるので注意が必要です。
詳しくは、次の 失業後の健康保険、保険料を安くするにはどうするか(2) をご覧ください。